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「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(2016年作品)感想 [映画]

ケネス・ロナーガン監督によるヒューマンドラマ。主演はケイシー・アフレック。

リー・チャンドラーという底辺配管工がいた。兄が死に、彼は16歳の子供の後見人になった。

彼は以前実家のある街で暖炉のスクリーンを立てるのを忘れて家を全焼させたことがあり、別の町で暮らしていた。心臓の悪かった兄は彼が地元に戻ってきて子供の世話をするように遺言で定めて金も用意していたが、弟には何の相談もしていなかった。

火事を起こしたとき、リーは警官の拳銃を奪って自殺しようとした。妻からは罵詈雑言を浴びせられ、彼の心は頑なになり、壊れていった。その結果、彼は嫌われ者になっていった。

甥のパトリックは彼の言うことを全然聞こうとしなかったが、リーは耐えて彼をボストンに引っ越しさせるのは諦め、ひと夏だけでも地元にいようと決めた。彼は仕事を探したが、悪い噂はまだ残っており、仕事は見つからなかった。

別れた妻からは一切連絡はなく、それを当然と思っていた彼だったが、兄が亡くなったことで妻と再会し、謝罪を受けた。彼はそれを言葉の上では受け入れたが、何もかも遅く、心の底では拒絶し、またそんな自分を嫌悪した。もう取り返しがつかなかったのだ。

リーは結局過去を乗り越えられず、甥を親切な友人の養子に出す決定をする。彼にとってはそれが精一杯だった。という話。

これはですね、あまり頭が良くなくて、注意力が散漫な、こんな言い方はアレだが底辺で生きるしかない人間が、とんでもない過ちを犯した過去を乗り越えられず、死にかけた兄が弟のために用意したプランも意味なく、彼を一番憎んでいてもおかしくない妻さえも彼に謝罪したのに、それでもやはりダメな自分を自覚するしかできない人間が、とりあえず甥のためだけには必死になって頑張ってみせた記録みたいなもの。

責任を全部自分で背負い込んでしまうタイプの人間が陥りやすい心理を巧みに描いてあるのと、何をやってもダメな自分を受け入れてしまった人間の回復不能な人生についての話でした。

おそらく傷ついた心は回復しようにも時間が掛かるという部分は多くの人に理解されようが、もともと短気でダメ人間だった男が、火事を起こしたことで根拠不明の存在するための自信を失った部分はスルーされそうな作り方であった。リーはもともとダメ人間で、火事によって家族が離散して、自分自身のダメな部分に向き合うことになったのだ。

一番ダメージが大きかったのは、実は自分は生来のダメ人間で、町の嫌われ者であることが当たり前だと気づいた瞬間だったはずだ。家族とともにあったときは考えもしなかったことと、独りになって向き合っているうちに、心が壊れたのだ。

なかなか味わい深い作品でした。ケイシー・アフレックの演技が圧巻。


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「英雄の条件」(2000年作品)感想 [映画]

ウィリアム・フリードキン監督による法廷サスペンス映画。戦争ものだと思ったら治安出動中に起きた発砲事件に関する裁判映画であった。主演はトミー・リー・ジョーンズ、サミュエル・L・ジャクソン。

イエメンで起きたアメリカ大使館包囲デモに対して発砲を許可したテリー・L・チルダーズ大佐(サミュエル・L・ジャクソン)は軍法会議にかけられることになった。その弁護を請け負ったのが、親友であり、退役軍人のヘイズ'ホッジ'ホッジス大佐(トミー・リー・ジョーンズ)だった。

事件現場で撮影されたテープは、中東での米国外交の破綻を懸念するホワイトハウスはこれを隠蔽。狙撃手による攻撃が先にあったと証明する手掛かりは失われ、チルダーズ大佐は殺人罪で軍法会議にかけられることになった。

弁護はホッジス大佐に依頼した。ホッジスは資格こそ持っていたが有能な弁護士ではなかったためにいったんは固辞したが、ベトナムでの出来事を借りだと思っており、家族の反対を押し切って引き受けることにしたのだ。

ホッジスはイエメンに調査に出かけた。大使館には銃撃された跡があり、監視カメラもついていた。

裁判では監視カメラが写したビデオが焦点となった。デモ隊が先に発砲した証拠があれば無罪を勝ち取ることが出来る。しかし安全保障局の補佐官がそのビデオを隠蔽していたので裁判は不利なまま進んでいた。だがビデオテープは確実に届けられている。

最終的にホッジスは、ビデオは裁判が有罪になろうが無罪になろうが必ず探し出すとこの補佐官を恫喝した。その甲斐もあり、チルダーズ大佐は一部有罪で決着した。のちにこの補佐官は偽証罪で起訴された。ざっとこんな話。

残念なのは裁判のシーンがさほど良くないこと。それにビデオの存在は出した方が良かったんじゃないかなぁ。やっぱり裁判の決着というのは映画では最大のカタルシスをもたらす場面なので、ビデオを発見して再生する、その場で補佐官の偽証がばれて権威が失墜する、チルダーズが完全無罪になる、こちらの流れの方が盛り上がるといえば盛り上がる。

しかし実際の裁判はそうではないのだろうし、ちょっとモヤモヤしているけど悪くない結末だった。

人によって感じ方は違うだろうが、軍の職務としての殺人を一般殺人と混同するのはどうかしている。危険地域へ派兵される兵士が犯した事件は、それが個人的な問題であれば個人の責任だが、大使館が襲撃された場合などはその地域に軍を派遣した政治家の問題だ。

この映画でもそこは重要視されていて、チルダーズ大佐のベトナム時代の行動が問題視されて個人の犯行だと結び付けようとしているわけだが、正直補佐官の不正があったからと言ってかなり無理のある展開で、無罪は揺るがないところだ。

もっと証拠に関して争う展開だとよかったかな。でも、悪くないし面白い作品でした。











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「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(2008年作品)感想 [映画]

ベン・スティラー監督による戦争コメディ映画。

冒頭からずっと映画の予告パロディで、最初わからずにアマゾンプライムに広告が入るようになったのかと疑った。ぼーーーっとしていると4分くらい騙されるwww

その映画予告やCMに出演している役者が登場人物。彼らはそれぞれハリウッドで活躍しながら落ち目になってきており、次の映画で返り咲きを狙っている。事情が事情だけあって役者たちはそれぞれ勝手な要求ばかり監督に突き付け、撮影は一行に捗らない。予算は5日で尽きてしまった。

頭にきたプロデューサーは監督をこき下ろし、こき下ろされた監督は役者たちに怒りをぶつけ、本物の戦場に役者たちを連れて行って撮影を続行。そこで活動するゲリラたちと本当なのかウソなのかわからない撮影が始まる。

あとはドタバタの連続。正直あまり面白くない。トム・クルーズが禿げたおっさん役で出演しており、禿げた扮装でもトム・クルーズはトム・クルーズなんだってわかっただけ。

おそらくコメディ映画が好きな人にはたまらない作品なのだろうが、生憎さほどでもないのでこの映画は個人的に合わなかった。





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「ランボー 最後の戦場」(2008年作品)感想 [映画]

シルヴェスター・スタローン監督・脚本・主演によるアクション映画でシリーズ4作目。第3作の「ランボー3 / 怒りのアフガン」以降は作っていなかったのだといま知った。

タイの山奥で蛇を捕まえながら隠遁生活を送っていたランボーのところに、キリスト教系NGO団体がやってきて、隣国ミャンマーまでの道案内を依頼する。ミャンマーは軍事政権によって少数部族に対する人権弾圧が続いており、NGOはその支援のために秘かに入国したがっていたのだ。

気乗りしないランボーだったが、仕方なく彼らをボートでミャンマーへ送り届けることにする。ところが彼らはミャンマーの将軍に捕まってしまった。ランボーもまた彼ら軍事政権の兵士たちが少数部族を虐殺した現場に遭遇し、あまりの酷さに怒りを覚えた。

行方不明になったNGOを救出するために傭兵団が組織され、またしてもランボーが彼らを送り届けることになる。傭兵団はイキり倒してミャンマーに乗り込むものの、カレン族という部族が虐殺されている現場に遭遇してビビり、急に今後のことで揉め始める。そこにランボーがさっそうと登場して殺されそうになった傭兵団を助けた。

ランボーという力強い兄貴に励まされ、傭兵団は活動を再開。NGOを救出して無事に(あまり無事じゃないが)ミャンマーから脱出して物語は終わる。

ラストシーンでランボーが故郷に帰るシーンがあって、おそらくこれはベトナム帰還兵であったランボーがアメリカという国家を赦し、軍人であった時代を胸にしまって、幼少期から現在までの自分の歴史を繋げるくらいの意味合いだと解釈した。

「ランボー」はベトナム帰還兵が、アメリカに自分の居場所がないと悩んでその戦闘スキルで多くの事件を起こしてしまうという内容がそもそもの発端なので、2と3についてはまあ横に置いといて、1の心情に決着をつけたというのがオレの感想だった。そんなに悪くはない。

社会派ドラマであったのにアクションシーンの格好良さからすっかりキャラ化してしまった「ランボー」だが、公開当時、ベトナム帰還兵の惨めな退役後の生活は社会問題になっており、多くの左派映画人が逃げていた題材を真正面から扱った1の功績は大きい。

その後80年代のアメリカ再起動によってちょっと方向はズレてしまったが、こうして故郷の土を踏むランボーは感慨深いものがある。

オレは結構気に入ったかな。


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「revisions リヴィジョンズ」(2019年作品)第8話 感想(慶作死す) [アニメ/特撮]

こんなに未来を信じられない円陣いやだわ。大介だけは外してくれないと。

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今週はチハルというナイスバディーな褐色ねーちゃんの新しい身体が見られると楽しみにしていたのだが、まさかのグロ展開。

ミロを中心とした部隊がリヴィジョンズの本拠地に突入。量子脳の破壊と拉致被害者救出の両面作戦で挑むも母親を目の前で殺された慶作が暴走、材料をかき集めて作られたチハルの新しい身体を破壊してしまった。

この行動によって作戦の放棄を決断したミロが爆弾を使用して脱出。一部の拉致被害者(材料として使えなかった人間たち)は助けたものの、慶作が死亡。大介が誰も守れなかったと悔やんで終わるのだが、いや、君の後悔などいらないから。

この一連の流れをコントロールしたのはコミニュケーションボディが犬形態のニコラス・サトウ。本来の自分に戻った彼がわざと慶作を怒らせ、チハルとムキューのいる場所まで誘導、新しい身体になってまだうまく肉体を動かせないチハルにぶつけて殺させた。

ニコラスはリヴィジョンズの中で身分が低いとされていたので、下克上的なものだろう。

量子脳が破壊されなかったので、現状2017年の渋谷が2338年の渋谷に固定されなかっただけで、状況は変わらず。

この作品も本当に考察しがいがあって面白いわ。


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「ケムリクサ」(2019年作品)第8話 感想(ダムだったのか) [アニメ/特撮]

シロが役に立ってる。白物家電のくせに。

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第8話の舞台はダム。駅から行けるとなるとおそらく黒部ダムだろう。黒部ダムは行ったことあるから間違いない。

なにこのダークなサザエさんwww

もう日本列島原形をとどめてないですよ、勘弁してください。黒部峡谷を抜けて最後は富士山にやってきたのかな。

とりあえず文字情報の書き起こし。

かべもきっとけむりくさじゃん そうさはできない りくでも

むしも けむりのめいれいでうごいてる? あかいけむりくさ?

しまのちけいがきになる うごいたのか つなぎめがへんじゃん

さいしょのひとのはが きおくのは か ひらけない いまりょうがもってる

め みみ はな した りくはひふ? りんはからだ? つよさ?

この最後の部分が今回一番重要な情報開示で、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のこと。これは情報を受ける能力。りんの身体とここには書いていないがわかばの言語は、情報を発する能力。りんとわかばが惹かれ合う理由が少しわかったかもしれないですね。

りょうが持っていた最初の人の葉は、りんが持っているとわかった。わかばに操作させれば一気に情報開示だったのだが、りんが照れてしまってダメだった。りょうの生死はいまだ不明。

ツイッターの #ケムリクサ考察班も、鳥居が厳島神社のものだとわかったとか、OPのりなちゃんずが映っている場面で、死んだ人間のところが隙間になっているとか、細かすぎる考察のオンパレード。タイムラインを追っているだけで楽しい。

オレのツイッターって普段すさんだ話題ばっかりだからな・・・。

今週は船が登場して一瞬乗り換えるのかと思ってしまったが、よく考えずとも水がないから動くわけないよな。もうアレなんだけど、かばんちゃんとサーバルちゃんの旅の続きが・・・、いえなんでもないです。

ルンバ隊はなんと合体して重機的な代物になり、赤い根を切断。役割を果たすと、哀しげに機能を停止させました。こういうところは演出が素晴らしいところ。ちゃんと物にも感情移入させてくれる。

九州からすっかり形を変えてしまった日本列島を縦断して富士山に着いたわけだが、この先も旅の描写なのか、富士山で謎の核心部分が明かされるのか、それもまだ不明。ここまで謎めかして退屈させずに視聴させているのだからすごい。やはり監督は演出屋が基本。

たつきって人は原作もできる人だが、イメージだけでこの作品は作れない。演出能力あってこそ、謎めいた話を最後まで視聴させられるんですな。


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「Gレコ ファンジン 暁のジット団」vol:29(Gレコ2次創作 第5話・前半) [Gのレコンギスタ ファンジン]

「ガンダム レコンギスタの囹圄」


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第5話「ザンクト・ポルトの混乱」前半



(OP)


ノレドとラライヤにはパレードに使用されたG-ルシファーがそのまま与えられた。

G-ルシファーのいかつい機体は、ザウスリングののどかな陽光の中に佇み、レイハントン家の屋敷の庭に停められることになった。シラノ-5の農業区画であるサウスリングは緑豊かな場所で、その牧歌的雰囲気を味わうための別荘が多くある地域だった。

レイハントン家の屋敷もかつての当主がそこに住んでいたわけではなく、週末にやって来て家族と過ごすための場所であった。ドレッド家に殺された先代レイハントンは、身体を動かすことが好きで、休日のたびに家族を伴いこの屋敷にやって来ては使用人たちと一緒に農作業にいそしんでいた。

ベルリもアイーダもこの屋敷の庭を走り回って育った。使用人はそのまま王家の家臣団でもあり、忠誠心に篤く、レイハントン家が滅亡したのちもドレッド家に与せずにレジスタンスとして戦った。ここサウスリングのレイハントン領は、王と家臣団の結びつきを確認し合う牧場であり、空であった。

たとえそれが作り物の空であったとしても。

滅亡したドレッド家はノースリンクの工業地帯に地盤があり、豊かではあるものの家臣との関係は経済取引の延長のようなものだった。ドレッド家はその基盤を固めるために生産力の増強を訴え、連帯を重視するレイハントン家と対立していた。

両家の対立はノースリングとサウスリングの対立であり、経済成長と環境維持の戦いでもあり、価値の集中と価値の創造の対立でもあった。資本の集中に於いてドレッド家は常にレイハントンより優位にあったが、人心の掌握についてはレイハントン王家は圧倒的だったのである。

レイハントン王は人々の労働の中に多くの価値を見出して働く人々を称賛して優れた者に勲章を与えていた。たとえ貧しい家庭であってもその仕事ぶりが評価され、王家より名誉が分配されたのである。

ドレッド家は分配を嫌う資本家の意見が大きく反映されたので、彼ら自身は強大な力を持っていても、その後ろには誰もついてきてはおらず、事実1年前の戦争にてドレッド家が滅亡した暁にはその存在はあっという間に忘れられた。資本家たちはノウトゥ・ドレットに代わる権力者も用意できなかった。

自信満々だったノースリングの資本家たちは意気消沈し、ハザム政権が人々に打倒されるのをただ黙って眺めていた。

そこへやって来たのが、ノレドとラライヤだったのである。

ノースリングの資本家たちはふたりの小娘ならば組みやすいのではとさっそく近づいてきたものの、レイハントン家の嫡男ベルリ・ゼナムの地球での養母ウィルミット・ゼナムが一筋縄ではいかない有能な女性とわかってふたりの少女に手が出せないでいた。

ウィルミットはトワサンガの事情に明るくはなかったものの、政治的キャリアによる勘でノレドとラライヤに送られてきた高価な品々はことごとく送り主に返還してしまっていた。彼女のガードはまさに鉄壁であり、ノレドとラライヤは知らないうちに彼女によって完全に守られていたのである。

そうとは知らないふたりも、自分たちが置かれた状況を理解すべく動き始めていた。

ノレドとラライヤは協力してなるべく外を歩き回り、多くの人々に触れ合ってハザム政権が倒れた後のトワサンガの様子を観察していた。

元よりラライヤはサウスリングの出身だったので顔馴染みも多かったが、ノレドも屈託ない性格ですぐに地域住民に溶け込んで仲良くなっていた。新しい王女というのでおっかなびっくりだった住民たちも、ノレドと話をすればたちまちのうちに打ち解けて話せるようになった。物怖じも人見知りもしない彼女の明るい性格は、サウスリングに多くのファンを生んでいった。

ただ、見聞するものの中には不穏なことも多く散見されたのである。

そのひとつがモビルスーツの乱用であった。

ハザム政権が住民たちの蜂起によって倒れたのち、その治安を請け負っていたのはキャピタル・ガードとアーミーの混成部隊であった。ノレドがキャピタル・テリトリィで見知っているウーシァとエルフ・ブルックが治安出動の名目でそこらじゅうを見回っていたのだ。

モビルスーツによるパトロールは地域住民に強い圧迫感と不安を与えていた。憤慨したノレドはウィルミットを通じてモビルスーツの撤退を命じ、所属のハッキリしない彼らもこの命令には応じたものの、それはサウスリングだけのことで、セントラルリングとノースリングでは依然としてモビルスーツの運用が継続されていた。

ノレド、ラライヤ、ウィルミットの3人は、こうした状況をつぶさに観察しながら、じっとベルリの到着を待っていた。

3人には多くの使用人が与えられ、何不自由なく生活をしていたものの、いつも誰かに監視されているような気がしていた。屋敷には明らかに戦闘の経験がありそうな大柄の女性がふたり配属されていた。彼女たちはジムカーオ大佐が雇った人間だったので下手に追い出すわけにもいかない。

そこでウィルミットはこのふたりに荒れたままになっていた庭の手入れの仕事を与え、極力屋敷の中へ入れないように心掛けた。大柄のふたりのメイドは大人しくその指示に従い、蔦に覆われていた庭を切り拓いて元の美しい庭に戻していった。その様子をウィルミットは窓から監視するのを怠らなかった。

ノレド「今度さ、G-ルシファーでどこまで行けるか試してみようと思うんだ」

朝食のクロワッサンを頬張ったままノレドがいった。ノレドはサウスリングの歩いて行ける範囲は行き尽くしていた。

ラライヤ「ウーシァとエルフ・ブルックがどこの所属かわからないままうろついているのにですか?」

すっかり近衛兵の軍服が板についたラライヤが応えた。ノレドの負けず劣らずラライヤはその美貌でサウスリングの若い男性の憧れの的になっていた。

ふたりの話を聞いていたウィルミットは、治安維持を行っている人間たちの制服について文句を言い始めた。

ウィルミット「トワサンガへやって来て、あんなキャピタルの制服で人々を威圧するようにモビルスーツで歩き回るなんて、本当に配慮がなさ過ぎて眩暈がするくらいですよ」

彼女の口調が思っていたより激しかったので、ノレドとラライヤは思わず目を見合わせた。

ウィルミット「あの人たちをトワサンガの守備隊にするつもりならば、すぐに制服をあつらえればいいんです。それくらいの予算はすぐに組めると申し上げたのに、ジムカーオ大佐からは何も言ってこない。そもそも大佐自身が調査部の制服を脱ごうとしない。これじゃまるでキャピタル・テリトリィがトワサンガを侵略したみたいじゃないですか。どうもわたしはあの人というのは・・・」

ノレド「(声をひそめて)クンパ大佐みたい?」

ラライヤ「む!」

ウィルミット「(声をひそめて顔を前に出す)あの人は決して物事に無頓着な人ではないのですよ。大変頭の良い人なんです」

ノレド「悪い人なの?」

ウィルミット「それがですねぇ(椅子の背もたれに寄りかかり)そうとも断言できなくて困っているの。彼が一刻も早くフォトン・バッテリーの供給再開を目指しているのは確かで、そのための仕事も着々と行っていて、ビーナス・グロゥブからレコンギスタしてやってきた人々はクレッセント・シップで送り返し、その際にエル・カインドという方からラ・グー総裁にトワサンガと地球の状況を報告することになるから自分は急いでいるのだといわれると、そうなのかなという気もしてしまって」

ラライヤ「あ、そうか。それでトワサンガにベルリさんを早く招きたがっていて、地球には一刻も早くヘルメスの薔薇の設計図の回収を急がせていると」

ウィルミット「戦争の終結とヘルメスの薔薇の設計図の回収、それにレコンギスタ犯の引き渡し。これらの要求が通ればタワーも運航を開始したいから手伝ってくれとか、言ってることは至極まともだからこちらは言い返せない」

ノレド「でもおばさまの勘では、何か企んでいると」

ウィルミット「これでも日中仕事をしながらずっと考えているんですけどね、フォトン・バッテリーの配給再開以外に彼が何か目的を持っているかというと、それが見当たらなくて」

ラライヤ「得をすることがないんですね」

ウィルミット「(困ったように項垂れ)そうなの」

ノレドは人工的な朝日が昼のものに変わってきたのを確認すると、すっくと立ち上った。

ノレド「だったらいっちょモビルスーツで刺激してやりますか!」






ザンクト・ポルトより発進してきたモビルスーツは、トワサンガ本国守備隊ガヴァン・マグダラ率いるザックス兵団であった。すぐさまミノフスキー粒子が散布され、続いてクノッソス級戦艦1隻がポートから離岸するのが目視で確認された。メガファウナ艦内に警戒警報が鳴り響いた。

ドニエル「ステア、ここはタワーに近すぎる。敵の考えが読めんからには離れて戦う。高度はこのままで少し離れてくれ」

ステア「イエッサー」

青い地球を眼下に、メガファウナは小さく舵を切った。ガヴァン隊もそれに合わせて素早くカーブを描く。攻撃意思があるのは明白であった。10機のモビルスーツはみるみる近づいてきた。

ドニエル「メガファウナにできるだけ近づけるな。タワーがあるぞ。射撃は良く見て狙え。モビルスーツを出す。アダム・スミス、準備はいいだろうな」

メガファウナのモビルスーツデッキでは人が慌ただしく交差している。最初に動き出したのは、アイーダから機体を受け継いだルアンだった。

ルアン「G-アルケイン、出る」

グリモアもすぐさま動き出す。グリモア隊の指揮を執るのはオリバーであった。

オリバー「グリモア隊はあまり離れるな。あくまでメガファウナの守備が任務だ。続け!」

ベルリが搭乗するG-セルフもメガファウナを発艦する準備を進めていたが、ハッパがコクピットの真ん前に張り付いて機体の説明をしていた。

ハッパ「いいか、ベルリ。バックパックは姫さまの指示で全部廃棄してしまった。キャピタル・テリトリィで完璧に直したつもりだが、オレは博物館展示用だと思って整備していた。だからまだ無理はしないでくれ。機体不良でお前に死なれたら姫さまに合わす顔がなくなる」

ベルリ「わかってますって。自分ももうこれには乗らないつもりでいました。でもまずは降りかかる火の粉は払わなくちゃでしょ。ベルリ、出ます」

G-セルフがメガファウナを離れると、遠くのビームライフルの閃光がヘルメットに反射した。ザンクト・ポルトから発進したガヴァン隊は軌道エレベーターにもナットにもあまりに近い位置でビームライフルを使ってきた。タワーを背にしているのは彼らの方であった。

ルアン「タワーに当てるな。ベルリ、後ろへ回り込めるか」

ベルリ「やりますけど(G-セルフを加速させる)あの人たち、トワサンガの守備隊の人たちでしょ? タワーの重要性をわかって行動してます?」

足の速いG-セルフが素早くガヴァン1機の裏を取ってビームを発射した。威嚇のための発砲であったが、敵のパイロットはタワーを背にしたG-セルフめがけてビームライフルを撃ってきた。それは危うく軌道エレベーターのケーブルを傷つけるところであった。

ベルリ「(慌てふためきながら)ドニエル艦長! まずいですよ! トワサンガの人たち、タワーのことをわかっていません!」

ドニエル「なんだって! ダメだ! モビルスーツ隊は戻って艦に取りつけ! タワーを背にするな。クノッソスが出てきてるだ? 艦隊戦はダメだ。こんなところで艦隊戦なんかできるか。敵をタワーから引き離す。それまで不用意に撃つな。モビルスーツ隊、メガファウナについてこい!」

ベルリ「接近戦なんてやりたくないけど(モビルスーツを引きつけながらタワーから離れさせる)来るならやらなきゃいけない。姉さんからラ・グー総裁に会えって言われてるんだから!」

ザンクト・ポルトから出撃してきたクノッソス級戦艦はメガファウナを追いかけてきた。メガファウナと艦隊戦をやるつもりであるのは明白だった。敵は場所など考えずにやみくもにビームライフルを使ってきた。彼らは後方に向かってもビームを発射している。

タワーに関する知識がないことは明白だった。

ドニエル「なんだって、まだ出てきている? そいつらは味方なのか、敵なのか?」

副艦長「144番ナットからだって? 最大望遠!」

モニターに映し出されたのは盾を手にしたレクテンとレックスノーの大部隊であった。彼らは望遠モニターで確認する範囲では武器になりそうなものは持っておらず、盾を並べた部隊が前面に出て、後方の部隊がビーム拡散幕を用意してタワーに取りつけていた。

ベルリ「(G-セルフのモニターに顔を近づけ)あれはキャピタル・ガードでしょ!」

ドニエル「タワーが主砲の射程外に出たらクノッソスとやり合うぞ」

ギゼラ「敵、離れていきます。ザンクト・ポルトに近づけたくないだけのようです」

ドニエル「どうなっているんだ・・・」

メガファウナの下方から1機のレックスノーが白旗を掲げて近づいてきた。宇宙での操縦に慣れていないのか重力に引かれて危なっかしい挙動だったため、ベルリのG-セルフがそれを助けた。






レックスノーでメガファウナに接触してきたのは、ベルリの養成学校時代の同期トリーティだった。同期といっても飛び級生のベルリより年齢的には先輩にあたる。

彼はメガファウナのブリッジに連行され、質問を受けることになった。

トリーティ「お話ししたように、ゲル法王とウィルミット長官がザンクト・ポルトに上がるというので、ガードは警護のためにおふたりについていったんです。人数は数人のはずでした。ところがそのあとに同じクラウンにアーミーの残存兵力がモビルスーツを搬入していたことが明らかになって、事態が混乱したんです」

ドニエル「法王と長官はどうなされた」

トリーティ「アーミーに連行されました。彼ら反乱部隊はジュガン司令の派閥だった者たちで、特に好戦的な連中です。彼らはアーミーの解体に反対していたのですが、戦力的に弱いと感じたのか、トワサンガを追放されたハザム政権の残党と手を組んでザンクト・ポルトを目下占領中です。我々は144番ナットを掌握して、彼らを地球に降ろさないようにクラウンを完全に停めています」

ベルリ「他のナットは?」

トリーティ「(ベルリに向かって)どこに誰が潜んでいるかわからないから、いまひとつひとつ制圧中なんだ。でももうすぐ終わる」

ベルリ「母さん・・・、運航長官のことも」

トリーティ「それはすまない。わからないんだ。ザンクト・ポルトにいるのか、トワサンガにいるのかも。ただカシーバ・ミコシはザンクト・ポルトにはもういない」

副艦長「地球にいたときに聞いていた話では、アーミーの反乱者たちがキャピタル・テリトリィに残ってガードがザンクト・ポルトに上がったという話だったが」

トリーティ「(首を振って否定しながら)反乱を起こしたのはジュガン派の連中で、ザンクト・ポルトに立て籠もっているのもそうですよ。さらにマスク部隊だったクンタラたちが、ゴンドワンから購入したホズ12番艦を奪ってどこかに逃げてます。現在調査部から地球に降りてジュガン派の残党を討伐しろと命令が来ているのですが、もう自分らは調査部からの情報は信じていないんです」

ドニエル「情報を混乱させている奴がいるようだな。政府も頼りないし、キャピタルはボロボロじゃないか・・・(帽子を深くかぶり直し)いや、悪気はないのだが・・・」

ベルリ「(トリーティに向かって)キャピタルにはいまガード養成学校の生徒たちと一緒にケルベス教官どのが潜入して事態収拾にあたってますよ」

トリーティ「そうなのか。(表情が明るくなって)現在通信を切って1番から144番ナットまで制圧することを優先しているが、ケルベス教官がいてくれるなら・・・」

副艦長「クラウンというのは、ザンクト・ポルトから運行させられるのかい?」

ベルリ「ムリです。命令には優先順位がありますから」

トリーティ「それに、144番ナットで全部停められます。こうした事態も考えられた上で訓練も受けていますから。連中がクラウンを使って地球に降りるのは我々が絶対に阻止するつもりです。ただ連中は、戦争を仕掛けてきている。そうなると我々では防ぎきれないかもしれない。タワーだけは絶対に壊させないつもりですが・・・。でもケルベス教官が指揮を執ってくれるならぼくらにも・・・」

ベルリ「そうですよ、先輩!」

メガファウナはいったん高度を下げて144番ナットに入港した。回線を回復させるとケルベス・ヨーの元気そうな顔が映し出され、地上とビクローバーの混乱はひとまず収拾したとの連絡があった。

ケルベス「こちらで装備のすべてを員数管理してみたのだが、クラウンでザンクト・ポルトに上がった連中の他に、戦艦2隻とカットシーを奪っていった連中がいるはずだ。ホズ12番艦を追いかけていた奴らだと思う。あいつらはおそらくゴンドワンの潜入部隊だろう」

トリーティ「自分らはギニア高地の戦いに参加しておりませんので、何とも・・・」

ジュガン派との防衛戦が144番ナットだと分かったことで、ケルベスの判断によりクラウンは地上と144番ナットの間のみで運航を開始した。ケルベス自身もすぐさま144番ナットまで上がってくることになった。ケルベスが来るとわかった瞬間、ガードの隊員から歓声が上がった。

複雑だった状況は一部がほぐれたものの、まだまだ分からないことはたくさんあった。

それらを解き明かすためにも、メガファウナは月を目指す必要があった。





ビーナス・グロゥブのラ・グー総裁が、ピアニ・カルータ事件に絡む全問題が解決されるまでフォトン・バッテリーの供給を停止するとの意向を示したと法王庁が発表してから、トワサンガのハザム政権が打倒されるまで、わずか4時間しかかからなかった。

レイハントン家の滅亡にドレッド将軍が関わっているとの噂はすぐに拡がった。レコンギスタ作戦の生き残りのみならず、ハザム政権に関与していたすべての人間が槍玉に挙がり、トワサンガ政府関係者とドレッド軍の生き残りは本国守備隊であるガヴァン隊に守られ、命からがらザンクト・ポルトに逃げてきたのであった。

ハザム「(疲れ切った表情で)いつになったら地球に降りられるのだ?」

ガヴァン「うるせぇ、ジジイは黙っていろッ!」

トワサンガ本国守備隊元隊長ガヴァン・マグダラは、縛り上げられ横倒しになったトワサンガ元首相ジャン・ビョン・ハザムの横腹を蹴り上げた。恰幅のいい紳士だったハザムは、無精髭が伸び、どこにでもいる無能な老人と何ら変わらない風体になり下がっていた。

ガヴァン「腹が減ったの、クソがしたいの、何もできねぇくせに文句ばっかり垂れやがって。備蓄には限りがあるんだよ。ここがトワサンガじゃないっていつになったら理解できるんだ、ああん?」

ハザム「だが」

ガヴァン「だがとか言ってんじゃねーー!」

ガヴァンはなおも老人を蹴り続けた。政治家は身分を追われると普通以下の人間になり下がるとはいえ、あまりに酷い仕打ちであった。トワサンガ本国守備に人生を賭けてきたガヴァンにとって、本国の民衆に石を投げられながら撤退せざるを得なかった事態は、心に大きな傷を負う出来事であった。

隊員A「メガファウナは144番ナットに入港しました。タワーを奪わない限りレコンギスタできません」

ガヴァン「そんなこたーわかってる! クソッ、レコンギスタさせてやるだの、キャピタル・テリトリィで仕事をやるだの言いながら、アーミーの連中、オレたちに代わってトワサンガに行きやがった。(机をドンと叩き)オレたちは嵌められたんだ」

隊員A「(敬礼し)クノッソスで大気圏突入できない以上、全力でメガファウナを奪ってみせます」

ガヴァン「メガファウナがダメなら144番ナットにいるキャピタル・ガードと戦争だ。自分らが使えないタワーなんぞ知ったことか。死ぬまで戦い抜いてやる」

ガヴァンは腹いせ紛れにまたしてもハザムの横腹を蹴った。






144番ナットに集結したキャピタル・ガードの精鋭は、モビルスーツこそレクテンとレックスノーのみであったが、タワーの緊急時における対応には長けていた。彼らが緊張しているのは、戦争の経験がまるでない隊員ばかりであったためだ。

それに彼らはザンクト・ポルトにアーミーがいるとまだ思っていた。ガードはケルベスに従ってメガファウナに乗り込んだ一部を除いて戦争経験に乏しく、アーミーを怖れていた。

実際のところガードに紛れて上がってきたジュガン派のアーミーは、すでにカシーバ・ミコシを使ってトワサンガのシラノ-5に移動していたのである。

ベルリ「(水分を取りながら)ケルベス教官と合流するまで2日かかりますね」

副艦長「敵がタワーのことを何とも思っていないのは厄介ですな。キャピタル・アーミーというのはそういう教育は受けていないのかな?」

ベルリ「まさか! アーミーといっても急ごしらえで、ガード養成学校の卒業生ばかりですから、タワーが神聖なものだってことは理解しているはずです。その証拠にアーミーは出てきてないですし」

副艦長「アーミーはもういないってこともありますね。カシーバ・ミコシがないのなら、連中と入れ替わりで法王と一緒にトワサンガへ行ったのかも。」

ドニエル「そうだなぁ。ジュガン司令というのはもう死んだのだろう?」

ベルリ「はい」

ドニエル「じゃあ、ジュガン派というのは誰の指示で動いているんだ?」

ギゼラ「(話に割って入り)ちょっと見てください。月の縁のところの突起。月の後ろに何か大きなものがあるんじゃ」

ギセラが指さしているのはメガファウナのメインモニターに映っている月であった。

副艦長「モニターもっと拡大できないの?(クルー全員が目を細めてモニターを見つめる)」

ギゼラが月の画像をさらにアップにしてメインモニターに映し出した。拡大してみると確かに月の裏側に何かがあってほんのわずか突起のように突き出している。

ギゼラ「(モニターを指さしながら)あれってもしかして、フルムーンシップじゃ?」

ドニエル「(大声で)ああーーーーーーッ! んな、どうする、ケルベス中尉を待ってられないぞ」

副艦長「フルムーンシップがあればどこへだって行けますからねー」

ドニエル「総員、緊急発進準備、急げ! フルムーンシップを奪いに行くぞ!」

月の裏側にフルムーン・シップの姿を発見したメガファウナは、艦内にけたたましく緊急通報を流して発進の準備を開始した。







メガファウナの急な動きはザンクト・ポルトにいるガヴァン隊もキャッチした。軽食を口にしていたガヴァンはそのゴミをダストシュートに投げ入れるとすぐさまパイロットスーツにヘルメットを被せ、足元に転がっているジャン・ビョン・ハザムを一瞥した。

その彼にブリッジから指令が伝えられた。

隊員B「メガファウナ、144番ナットから出ようとしています!」

ガヴァン「クノッソス、2隻とも出すぞ! 全員乗艦! 遅れるな!」

ガヴァンはジャン・ビョン・ハザムを担ぎ上げてモビルスーツデッキまで運ぶと、そのまま船外に投げ捨てた。縛り上げられたハザムはもがきながらザンクト・ポルトの住人に受け止められた。

船が出ると知った住人たちは急いでハッチを閉じていく。彼らはガヴァンに恫喝されて、物資を強制徴収されていたのだ。ザンクト・ポルトの住人たちの冷たい視線は、トワサンガで彼に石を投げつけてきた民衆と同じ眼をしていた。

ガヴァン(なんでオレが厄介者になっているんだ? 職務に忠実だっただけじゃないか。オレはマッシュナーやターボ・ブロッキンみたいなドレッド将軍の犬じゃない。なのになんでみんなオレを拒むんだ? なぜオレたちは国を追われた?)

隊員A「全員乗艦確認。出します」

ガヴァン「いいか、メガファウナは生け捕りにするんだ。絶対に沈めたらダメだ。もうオレたちに故郷はない。新天地に降りない限り、オレたちに明日はない。もうトワサンガにオレたちの居場所はないんだ!」

キャピタル・タワー最終ナット、ザンクト・ポルトから2隻のクノッソスが出撃した。


(アイキャッチ)



この続きはvol:30で。次回もよろしく。















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「エンド・オブ・キングダム」(2016年作品)感想 [映画]

ババク・ナジャフィ監督によるアクション映画。「エンド・オブ・ホワイトハウス」の続編。主演は ジェラルド・バトラー。

イギリスの首相が急逝する。その弔問に参列することになったアメリカ大統領。ところが各国代表団のSPがバラバラに警護をするために移動ルートの安全が懸念されていた。

そこでマイク・バニング特別捜査官 (ジェラルド・バトラー)が呼ばれ、警護を担当することになった。

ここからは前回と同じ。SPの中に犯人が紛れ込んでいて、会場は大パニック。まーた内部に犯人がいるのかと苦笑い。テロリストが犯人なんですけど、どうでもいいかな。近衛兵の中に敵が混ざっていて大笑いしました。相当酔っぱらっていると面白いのかも。


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怪獣図解入門 (小学館入門百科シリーズ 18)

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  • 作者: 竹内 博
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「エンド・オブ・ホワイトハウス」(2013年作品)感想 [映画]

アントワーン・フークア監督によるアクション映画。主演はジェラルド・バトラー。

ホワイトハウスが北朝鮮工作員に乗っ取られ、第7艦隊撤収と韓国からの米軍撤退が要求される。もうこの段階でどうでもよくなったのだが、難攻不落のホワイトハウスがいったん乗っ取られてしまうと厄介だという話で、そこに以前ホワイトハウスで警備担当だった男が乗り込んで事件を解決する。

非常に単純なアクション映画であった。

南の大統領が従北派となった現在、お笑い要素しかない作品であった。コリアンなんぞを仲間だと思っていた奴らがすべて悪い。


酒井ゆうじ怪獣造形作品集 GODZILLA DREAM evolution

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「ヴェロニカ・マーズ ・ザ・ムービー」(2014年作品)感想 [映画]

ロブ・トーマス監督によるミステリ映画。ドラマの映画化らしいが、Wikipediaによるとドラマは打ち切られたそうだ。

ドラマ版を観ていないので登場人物に一切思い入れがない。そんなわけで、何かすかしたことばっかり喋りやがってこのクソ白人どもはッ! って感じ。黒人もいますけど。

起こる事件もしょぼいし、完全にドラマファン向け。選択ミスでした。

かつて女子高生探偵をやっていたヴェロニカは、何らかの理由で(科白がスカしていて細かいことがわからない)その過去を封印して街を逃げ出し、一流大学のロースクールで勉強していた。彼女は自分のSEXビデオなどを流された過去があるものの、気にせずキャリアを欲していた。

そこに高校時代の友人から連絡が入り、同級生が死んだこととかつての恋人(?)か何かが殺人容疑をかけられていると聞かされ、その街に弁護士を探しに行く。久しぶりの帰郷で、何らかの事件で保安官の職を追われて私立探偵をやっている父親と再会する。

それで同級生たちを洗い出していくうちになんやかんやとしょうもないことが起きて、最後は犯人に辿り着く。背後にある事情が分からないので事件が起こっても何の感慨もないとですよ。

それで弁護士の採用を蹴って、私立探偵になりました。という話。

ドラマ版を観てからじゃないと、おそらくポカーンな展開です。まずはドラマ版を視聴することをお勧めします。


大空への夢:特撮の神様 円谷英二伝

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円谷英二: 怪獣やヒーローを生んだ映画監督 (伝記を読もう)

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定本円谷英二随筆評論集成

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円谷英二の映像世界

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  • メディア: 単行本



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