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「仏像大好。」(2010年作品)第4回・最終回 感想 [ドキュメンタリー]

第4回は飛鳥寺・中宮寺・新薬師寺・西大寺 編。

飛鳥寺 拝観料350円

飛鳥大仏(釈迦如来坐像)・・・飛鳥時代(609年)作。制作者は鞍作止利(止利仏師)。日本で最も古い仏像。作られて以来現在の場所から1度も動かしていない。鎌倉時代に火災で焼けて補修された。かつては光背があり三尊仏子であったが現在は失われている。釈迦物のテンプレが出来る前の作品なのでのちの仏像とは表情が違い、印を結んでいない。


中宮寺 拝観料500円

菩薩半跏像・・・飛鳥時代作。半跏思惟像として有名。おそらく世界で最も美しい仏像。当初は彩色されてアクセサリーもあった。この仏像の魅力は理想や救済を表現するにあたって仏師が仏の考えに迫ろうと工夫している点。理想とは何か、救済とは何か、それを造形として表現するならどのように作り出すべきかを仏師が考えている。その姿が理想的であるのだ。それに対してのちの仏像は理想や救済の描き方についてテンプレが確立され、仏師はそのテンプレを学ぶだけになってしまった。それが理由となりすべての仏像は同じ顔になって細部へのこだわりがなくなってしまった。唐などでどれだけ多くの新しいテンプレを学んだかがすべてになってしまった。飛鳥時代にはまだそれがなかったわけだ。


新薬師寺 拝観料600円

十二神将立像・・・奈良時代作。宮毘羅(くびら)、伐折羅(ばさら)、迷企羅(めきら)、安底羅(あんちら)、頞儞羅(あにら)、珊底羅(さんちら)、因達羅(いんだら)、波夷羅(はいら)、摩虎羅(まこら)、真達羅(しんだら)、招杜羅(しょうとら)、毘羯羅(びから)、呉爾羅(ごじら)で十二神将。いずれも七千人を率いる大将である。それぞれが十二の方向を守っているとはすでに書いた。塑像なので壊れやすい。当時の人もまさか1200年後に残っているとは思わなかっただろう。信仰の力というのは凄いものだ。

薬師如来坐像・・・平安時代作。眼を見開いているのが特徴。平安時代ともなると表現は完全なテンプレ。眼を開いていたり白毫がないのは仏師がテンプレを知らなかっただけでおそらくほかに意味はない。この仏像が作られたとき、知識の共有がそれほど進んでいなかったのだろう。七仏薬師と呼ばれる表現方法で光背の中に六体の薬師如来がいる。


西大寺 拝観料は本堂、愛染堂、四王堂、聚宝館それぞれ別で一括1000円

愛染明王坐像・・・鎌倉時代作。人間の愛欲の強さを修行する気持ちに変えてくれる明王様。怒った表情と赤い肌で表現されるが、もっとも表現が難しい。愛欲を大欲に変化せしむるとはどう解釈すればいいのか。ずっと考えているが、どうにもこれといった答えがない。

釈迦如来立像・・・鎌倉時代作。叡尊ゆかりの仏像ばかりなので鎌倉中期の作品が多い。ガンダーラ美術の影響を受けたお釈迦様で、中国で作られた仏教美術の様式とは違う。彩色を施しておらず、顔の表現が中央アジア風。

文殊菩薩騎獅像・・・鎌倉時代作。文殊は「三人寄れは文殊の知恵」のことわざにある知恵の仏様。獅子に乗って海を渡ったとされる文殊が表現されていて、獅子を牽く優填王の像もある。

以上。ムリヤリ4回に分けなくても良かった作品。面白かった。中島朋子の落ち着いた声が心を穏やかにしてくれる映像作品であった。

仏像で一番好きなのは弥勒菩薩像。なぜなら最も理想に近い位置にいるから。

理想主義というのは「これが最も優れた意見です」といった瞬間に死ぬものだ。考えることを止めるからである。最悪の理想主義は共産・社会主義で、あれは理想主義を破壊するための似非である。共産主義者は世界で最も理想主義から遠い存在であり、文化の破壊者といっていい。まさに彼ら共産主義者の歴史は文化破壊の歴史である。

釈迦以外で一番優れた問答をするのは文殊であるが、聡明で賢い文殊であっても弥勒には劣る。それは弥勒菩薩が賢いという意味ではなく、理想を追い求める姿そのものだからである。知恵によって理想へと至るのかどうかすらも疑い、考え続けることが弥勒菩薩に託された役割であるのだ。

弥勒菩薩は理想主義に目覚めた若き日のゴータマ・シッダールタの姿で描かれるが、まだ修行前だった釈迦が王族という身分より大切なものがこの世にあることを知り、何をどうすれば良いか考え始めた姿こそが尊いと考えるためである。

大欲に目覚め、私欲の醜さと対比させ己を恥じ、自身の再構築を図った先に覚醒がある。しかし本来覚醒もいらないのである。

大欲を意識した若者が何か人々の為に成そうと大願を持ち、自分にできることを考え続けることが弥勒へ至る道である。

そしてそんな若者の気持ちを利用し、悪へと変化させるのが共産主義であるのだ。

なぜなら、理想主義は答えが見つかったと過信したときに本分を見失うからである。何をどうすれば理想に近づくという簡単な答えはないのである。

弥勒が考え続けている意味を今一度再考すべきであろう。





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