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「ウルトラQ」(1966年作品)第2話 感想 [アニメ/特撮]

第2話「五郎とゴロー」脚本:金城哲夫

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<あらすじ>

眼下に野猿の姿を見て楽しんでいたロープウェイの乗客たちは、突如眼の前に現れた巨大な猿の姿に恐怖した。

そのころ久しぶりに野猿観察研究所に戻ってきた研究者2名が、薬品室が荒らされていることに気づいた。この半年間、研究所には五郎という19歳の青年しかいなかった。研究者たちは彼を疑ったがやがて猿の足跡を見つけて五郎の疑いは晴れた。

大猿の名はゴローといった。両親が死に猿と育った五郎がエテキチと呼ばれていたことから、猿のゴローの方が名前で呼ばれるようになっていたのだ。教育を受けておらず話すことのできなかった五郎は、仲の良いゴローのために食べ物を盗み、村民から嫌われ啞だと侮蔑されていた。彼は村民からリンチを受けているところを江戸川由利子、万城目淳らに救われ、警察に引き渡された。

ゴローが巨大化した原因は、研究所の薬品室に置いてあった青葉クルミの実をゴローが盗んで食べたためだと分かった。このクルミは戦前軍部が兵士の体力増強のために用いていた特殊なクルミであった。これを食べ過ぎると甲状腺ホルモンのバランスを崩し、巨大化してしまう。

江戸川由利子は南の島の土人たちが同じような巨大な猿を守り神としてともに暮らしているのを取材してきたばかりだった。イーリアン島の巨大猿も、日本兵が持ち込んだ青葉クルミの実を食べて巨大化したようであった。

ゴローが街へ出て暴れているとの知らせを受けた江戸川由利子らは急いで現場に駆けつけ、発砲しようとする警官を押し留めた。由利子はゴローをイーリアン島に連れていけないかと提案した。同じことを考えていたのは彼女が勤める出版社のデスク関だった。関は自分が身元保証人になって五郎を監獄から出すと、彼に睡眠薬入りの牛乳を持たせてゴローに与えた。

ゴローは大人しくなり、やがて建物を背に眠りこけてしまった。

<感想>

金城哲夫の「五郎とゴロー」は集団に溶け込めない排除された者たちを題材にした物語だ。日本兵が開発した青葉クルミを食べてしまったために猿の群れにいられなくなったゴローと、言葉が喋れないために人間社会に受け入れてもらえない五郎が、友情で深く結ばれているところが心に沁みる作品である。

最後に眠りこけてしまったゴローを見た五郎が悲しそうな叫び声をあげるシーンがある。この場面は、人間としては良かれと思って行ったゴローのイーリアン島移住計画も、五郎にとってはただ唯一の友人と引き離される処置に過ぎない心象を表している。

関デスクは得意満面に「睡眠薬が入っているなんて五郎が知るはずがない。彼は牛乳を飲ませようとしただけだ」とうそぶくが、そうした小賢しさもまた暴力を含んだ振る舞いなのだとの警告でもある。

優しさの振る舞いの中にも弱者への暴力は含まれているだとの指摘が素晴らしい。現代社会の弱者権力を暴力として利用する連中の陰惨極まる心根を、金城哲夫が生きていたらどう観察してどんな脚本にしただろうか?




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