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「灰羽連盟」(2002年作品)第6話~13話(最終話) 視聴 [アニメ/特撮]

この作品は構成された独特の世界観を謎解きしていく物語ではない。

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灰羽と呼ばれる存在を巡る諸処の設定については、何一つ明らかにならないが、物語の骨子は、個として生まれた者が、自分を受け入れ、すべてを理解して生れ落ちるまでを描くといったものだ。

設定上の謎は明らかにならないのでそれぞれが勝手に解釈すればいいのだが、オレは灰羽というのは、転生の通過点のようなものだと理解して視聴した。死んだ者が、生まれ変わる前に、自分が何者であるかを受け入れ、その確認が取れた者から壁の向こうにある現世へ旅立つといった感じだ。

名は個性を表わしているようだった。人間が個々にもって生まれる個性が、灰羽であるときにそれを受け入れ、理解した上で生まれるかどうか決める。羽が黒く汚れていき、心が濁ったとき、現世への転生は取りやめとなって、その魂は消え去る。

解釈としてはこんな様子なのだが、あくまでこの作品はこうした解釈を求めないもので、灰羽という存在を通じて、受け手に自分の個を再確認させることが重要になっている。

作品としては、アート系の人の創造物そのままで、演出に頼らない作りになっている。漫画にしろアニメにしろ、受け手の感情を揺さぶる手段として演出が重要なのだが、アート系の人は雰囲気に感情移入させる作品を生み出すことが出来る。泣かせる演出で泣かせるのではなく、劇中の個に自分を重ね合わせることで感情を揺さぶるのだ。

演出が弱いか、まったく意識されていないので、普通の週刊誌などに連載されている漫画しか読んだことがないと、作中で何が起こっているのかすらよくわからなかったりする。いろんなタイプの漫画を読んでる人はすんなり感情移入できるであろう。

ラッカとレキの羽の色が濁るという問題がアニメの話題の中心に置かれていて、ラッカを救ったレキを、最後はラッカが救って無事に旅立たせる。クウなどは自分で自分を肯定して、灰羽の巣を旅立って行ったが、ラッカもレキも自分で自分を肯定できず、羽が濁り、自己嫌悪に陥って転生を諦めかけるが、誰かが自分を必要としていてくれる、肯定してくれるという安心によって、もう一度下界に生れ落ちる勇気を得る。

こういうのは、若いころには一度は感じる孤独であり、大学で最初に感じる孤独によく似ている。なんとなく友人らしき者も出来たのに、どこか空虚で、個が安定しない様子に近い。

子供が個人としての自分を見つめ直したとき、絶対的な守護者である親より高次の何者かと向き合おうとする心理だ。生まれてきた意味など知る由もないが、少なくとも自分で自分を肯定した上で生まれてきたはずだと仮定して、個を安定させようと試みているわけだ。

「灰羽連盟」は、自己を肯定するためのモラトリアムの時間を描いている。まさに大学生活だな。

大学へ行くのは金がかかるが、何とか工面できるのならば行っておいた方がいいし、大学は高校とはまったく違う場所だってよく理解して進学すべきだ。自分はこういうことをする人と思い定める場所であって、それが出来ないで卒業するのは灰羽失格だろう。

商業作品としての完成度は正直低いかもしれないが、アニメというのは子供が観るものなのだし、こういう作品を視聴してハタと自分の存在が自分自身による肯定の元にあると再発見するにはいいと思う。いい歳こいた大人になってまだ「生んでくれと頼んだ覚えはない」では恥ずかしいもんな。

なかなか素晴らしいアニメだったよ。




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Twitterまとめ投稿 2017/06/13 [日記]


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