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「夏目友人帳 肆」第4・5話 感想 [アニメ/特撮]

第4話は、ある女性の恋に関与してしまった妖が後悔する話。

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人にとってかなり昔の、しかし妖にとってはほんのわずか昔、ある神社で逢引をする若い男女がいた。

男女は仲睦まじく、いつも楽しげに話しをしていた。呼子という物まねが得意な妖は、何気にそれを眺めていた。

ところがある日を境に男が神社へやってこなくなった。女はそれでも待ち続けていた。呼子は気になって男の消息を探したところ、没落した家の跡取りだった男は、良縁に恵まれ、良家の令嬢を娶ったばかりだった。女はそのことを知らず、ずっと待ち合わせの神社で待ち続けていたのだ。

ある日、女を不憫に思った呼子は、男のフリをして神社の奥から話しかけてしまった。女は気づかず大いに喜び、そのことでかえって本当のことが話しづらくなってしまった。いつまでもウソをつき続けるわけにもいかなかった呼子は、意を決して本当のことを話し、住処だった神社の古木を離れ、各地を流浪した。

人間にとってかなりの年月が流れたころ、呼子は元の住処に戻ってみることにした。神社に立ち寄ってみると、茶色く変色していまにも朽ちてしまいそうな1通の文が置かれているのを発見した。文はボロボロで、とても開いて読める代物ではなかった。

呼子は夏目貴志の友人帖を狙って彼を襲った。夏目貴志はそれに応じなかったが、理由を話し、カリカミという妖を呼び出せれば文を再生してもらえるというと、協力してくれることになった。

夏目貴志はかつて祖母のレイコが名を奪ったカリカミに名を返す返礼として、呼子が持つ文を再生してくれるよう頼んだ。

その文には、「本当のことを話してくれてありがとう」と記されていた。


というお話。

夏目貴志が藤原家に居候するようになってから、妖が見えるという話をせず、ウソをついて生きているという自責は度々描写されている。これは心を開いて本当のことを話してみても、誰もが拒絶するわけではないという話になる。いつか夏目貴志が仲間たちに本当のことを話すときがくるとき、重要になる逸話。


第5話は、夏目貴志が藤原家にやってくる前に出会った女の子の話。

藤原家に居候になる以前、夏目貴志はある学校に短期間転校したことがあった。そこでは神社に棲む妖に呪いをかけられ、30日間妖から逃げきったら呪いを解くが、逃げ切れなかったり居場所を変えたりしたら周囲の人間を呪い殺すと脅された。

妖から逃げ回る夏目貴志の奇行によって、その学校では友人が出来なかったが、ひとりの女の子が彼のことを気に留めて、もしかしたら何か別のものが見えているのではないだろうかと推測した。彼女はテストで悪い点数を取るたびに神社にお祓いがてらお参りに来ていた少女で、そこで夏目貴志と出会ったのだった。母子家庭だった彼女は、たった一人の家族である母親から夏目貴志に関わらないよう忠告を受けたが、女の子は彼が悪い人間だとは思えず、度々彼を庇った。

妖は調子に乗って、貴志の学校にまで押しかけ、窓ガラスを割ったりして嫌がらせをした。妖を見ることが出来ない人々は窓ガラスを割ったのは夏目貴志にしか思えなかったが、女の子はガラスが外から割られているなど不自然なところがあると貴志を庇った。だが、それらは受け入れられなかった。

学校で問題になったことで、貴志はそこにいられなくなり、別の親戚に預けられることになった。まだ30日は過ぎていなかったので、妖に事情を話して呪いを解くよう言ってみたところ、呪いというのはウソで、ただ貴志をからかっていただけだとわかった。妖はその神社の狛犬の妖で、人間の不幸を代わりに受けることはあっても呪いは受けられないのだった。

数年が経ち、またテストで悪い点数を取ってしまった彼女は、いつものように神社にお参りにやってきた。その帰り道、トラックに惹かれそうになった彼女を、何者かが守った。それはかつて夏目貴志にウソ呪いをかけた妖だった。

脚を怪我しただけで済んだ彼女は、中学時代のクラスメートがサイクリングの際に貴志を見かけたという話を聞かされた。七辻屋で饅頭を買った貴志は、優しそうな人と一緒に帰っていったと聞き、その女の子は少し安心した。


というお話。

母子家庭の、あまり恵まれていないが優しい母親に育てられている少女が、親戚の家をたらい回しにされている貴志の隠れた理解者だったと、視聴者だけが知ることが出来る話で、それぞれが思い出の中でしか登場しない。

少女視点で見る夏目貴志の振舞いの奇行さと、夏目視点で観る妖が見える場合とで、状況がまったく異なっているのが面白い。夏目貴志が孤独に陥る原因となっている「妖が見えてしまう」部分が、上手く強調されていた。

彼の孤独と、孤独ではあっても素直さを失わない彼にはいつも何らかの理解者が存在していて、ちょっとしたきっかけで孤独から逃れられたとされている点が救いになっている。

「夏目友人帳」の良さは、慎重に自己憐憫を避けている部分にもある。第4話にあるように、孤独な自分でも少し心を開いてみれば誰かと通じ合える可能性はあるとも描かれ、第5話のように、彼と接する側もちょっと彼に歩み寄れば心を通じ合わせられると表現されている。

双方が何らかの形で距離感を上手く保つとき、交流は生まれるものだという視点は、妖が見える見えないに関わらず、人間同士の交流の普遍性を持つものだ。




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Twitterまとめ投稿 2017/03/16 [日記]


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