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「血のお茶と紅い鎖」(2006年作品)感想 [映画]

Christiane Cegavske監督によるストップモーションアニメを使ったアート系前衛映画。アマゾンのジャンル分けで「キッズ」になっているが大ウソなので要注意。ところどころグロテスクな表現があります。

あくまでアート系前衛映画で、古典的題材と手法を使ったアヴァンギャルド作品です。

全体の雰囲気はきわめて60年代から70年代初頭の作品に酷似しており、いまの時代を反映した時代と寄り添う作品というより、古い時代のアングラ作品を換骨奪胎して女性要素を入れたといったところ。ビートルズの時代ですね。サブカルチャー好きの女性、いわゆるサブカルクソ女さんがイメージする「前衛」とは何かがよくわかります。

劇中に科白はなく、映像と音楽のみで進行。ストーリーはおとぎ話風になっています。

ある日、人間の女性が描かれた1枚の絵画を元に、そっくり同じものを作れるかとネズミが相談にやってきた。森のカラスは一応姿を似せて人形を作ったが、手放すのが惜しくなってカネは返すからこれは売れないとネズミを追い返した。

カラスはその人形の腹の中に卵を入れて木の上に吊るしておいた。その晩、ネズミがやってきてこっそり人形を奪っていった。

人形を取り戻すためにカラスは旅に出た。途中で幻覚を見る木の実を食べて食人植物に食われそうになった。彼らを助けたのはカエルの導師だった。導師は怪しげな人物であったが食事を用意してくれ、カラスは遠慮なしに食べて眠った。

人形を奪ったネズミたちは、トランプに興じながら人形に血の紅茶を飲ませていた。すると人形の腹の中から肖像画と同じ顔を持った青い鳥が生まれて、すぐさまネズミの家を逃げ出してしまった。

青い鳥は、鳥を食う自分と同じ顔をしたクモに捕まった。カラスは幻覚を見ることが出来る木の実とその鳥を交換した。カラスたちは気を失った青い鳥をカエルの導師のところへ連れていった。カエルは鳥をくるんでいたクモの糸を取り除き、この子を食虫植物の葉でくるんだ。カラスたちは葉でくるまれたその子を連れてもと来た道を戻っていった。

人形のことを諦めきれないネズミの中の1匹が、血でハートを描いたトランプを人形の中に入れてクモのところへ持っていった。そしてカメと交換で、青い鳥の羽を貰った。ネズミはその羽根を人形の腕に縛りつけていった。しかし人形は目覚めるわけでもなく、羽ばたくわけでもなく、困ったネズミはカエルの導師にお願いしてみることにした。するとカエルの導師はその人形に心臓を入れて再び縫い合わせてくれた。

眠っていた他のネズミたちがそのことに気づいてクモのところに押しかけ、無理矢理カメを奪い返してクモを殺してしまった。彼らは臭いを辿って抜け駆けしたネズミを追いかけた。

カエルに心臓を入れてもらった人形をもってネズミはカラスの家へと向かった。そして前と同じように木に吊るしてみた。翌朝その人形を発見したカラスと追いついてきた2匹のネズミたちは人形を奪い合い、しまいには手足をもぎ取ってしまった。

2匹のネズミは自分の取り分ができたことに満足して戻っていった。1匹残されたネズミがあまりに哀れそうな顔をするのでカラスたちは自分たちが奪った手足1本ずつをネズミにくれてやった。ネズミは喜んで帰っていった。

カラスたちは人形を奪い合うことに疲れて、葉にくるんだ青い鳥を川に流してしまった。

あらすじとしてはこんな感じだ。特に一貫したストーリーがあるわけではないが、アングラ映画としてはイメージや比喩に乏しく,演出も弱いので物語に頼っている感じがする。60年代のこうした作品は暗喩に満ちていたものだが、この作品ではカラスやネズミが奪い合う「女性」の人形にメタファーが集中している。

どうとでも解釈できるストーリーに依拠して70分のストップモーションアニメを作るのは、根気は評価するけどもそれ以上のものはない。作品の受け手が、カメの馬車や人のような姿をしたカラス、貴族的生活をするネズミ、自然主義的神秘性を秘めたカエルなどを独自に解釈するしかない。60年代と比較して現代はパブリック・イメージに共通性がないのがこうした作りになった原因かと思う。

プライム特典でアングラ映画を1本見ておきたい人や、アングラ映画が大好きな人にはお勧め。

個人的にはそこそこ楽しめた。ビートルズやデビット・ボウイの時代にはこうした作品が多くあり、その当時からサブカルチャーに理解を示す女性などに人気があったものだ。

当時は「サブカルクソ女」などと呼ぶ人間がいなかったので、ちょっと頭のいい子と思われてみんなモテていたものだ。



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