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「駆込み女と駆出し男」(2015年作品)感想 [映画]

「突入せよ! あさま山荘事件」の原田眞人監督による時代劇。主演は大泉洋。

科白回しが凝っていて流れる言葉を聞いているだけでよい気分になれる。長科白の合間にポンと大きな音を入れてメリハリも効いているから長尺の作品なのに退屈することがない。どの役者も監督が望む速さでポンポン喋って音の繋がりが完璧。古文の知識は高校程度のものがあれば理解できる。

画面の色も暗過ぎず明る過ぎずちょうどよい。ちょうど良さがこの作品の個性であり、傾きがない素直さがあって押しつけはまるでない。変な思想的な色付けもないので嫌な気分になることもない。これは邦画の中でもかなり良い作品。やはり原田眞人は面白い。

物語は東慶寺という縁切寺を舞台にしており、そこに駆け込んだ訳ありのふたりの女性と、彼女らの手助けをする医者見習いの男を結ぶ縁の話になっている。惚れた男に病で衰える自分を見せたくなくて寺に駆け込む娘、たたらを踏んで火ぶくれになった顔を笑われ大好きな製鉄の仕事に打ち込めず家を出る娘、剣術指南道場を酒癖の悪い浪人に奪われ無理矢理夫婦にさせられた娘などが、天皇家と幕府の双方から庇護を受ける東慶寺に逃げ込んでくる。

東慶寺では逃げ込んだ女の身元を洗わねばならないので一時宿屋に身柄を預けて聞き取りなどをするが、主人公の男は医者見習いでこの宿屋の叔母を頼って身を寄せた。そのときの縁が彼女らの修行が終わる2年後まで続き、その間、世間は大きく動いていく。

主演の大泉洋と、盗賊の女お吟役の満島ひかりが特に光っていた。満島ひかりは時代劇では大抵病人の役をやっているが、この映画は弱々しい女ではなく、気風が良くて「南総里見八犬伝」が大好きな粋(という言葉は劇中で否定されていた)婀娜っぽさがあって、男勝りなくせに色気もある科白が妙に似合っていた。

原田眞人監督といえばネットでの映画批評に否定的な人物で、もっとコアな映画ファンを大事にしないといけないという意見の人なのだが、オレが言うのもなんだがその通りです。

というのも、批評という作品の外側にある言葉も広義の文芸の一部であり、文芸の質を問うように本来は批評の質も問われなければならない。それにはやはり世に出すべき言葉なのかどうか編集者という第3者の判断がいるはずなんだよね。ネットは濾過器を通さない水を自由に飲んであとは自己責任ってやってるようなものなので、本当は良くない。

でも濾過器が詰まってるからみんなネットでやってるという部分もあるとは理解していただきたいものだ。

まあとにかくこれは良い方の邦画。映画の魅力が詰まっています。


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