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「宮本武蔵 二刀流開眼」(1963年公開)視聴 [映画/ドキュメンタリー]

原作:吉川英治、監督:内田吐夢、主演:中村錦之助(萬屋錦之介)による宮本武蔵5部作の第3作目。どんどん面白くなってくる一方で徐々に予算が尽きつつある。

タイトルに二刀流開眼とあるが、特に開眼したわけではなく、柳生の城でひと悶着あったときに、右手に木刀を持っていたので左手で剣を抜いただけだった。しかも、悶着に子供が絡んでいたので武蔵は一太刀浴びせただけで逃げ去ってしまった。吉川英治は人気作家で場面作りが上手く、文章も軽妙なので読ませるのだが、剣豪を描くには根性が足らん文系人間だ。そうした批判は必ずあるだろうというくらいこの武蔵はよく逃げる。

流体力学とまでいかなくとも、多少の武道の経験があれば決して書かないような動きが多すぎる。吉川英治によって昭和の時代に再び有名になった宮本武蔵だが、あくまで吉川武蔵であって実在からは程遠い描かれ方のはずだ。

幼馴染の又八や、吉岡剣法道場の若き当主を正月早々に京都の五条大橋に呼びつけた武蔵が、般若坂の決闘の後に柳生の城へ出向く場面から始まる。

柳生の城には隠居した柳生石舟斎がいるが、その石舟斎は名を上げるためにやってくる各地の剣術使いに辟易しており、滅多に遭おうとしない。その日も京都よりやってきていた吉岡道場の当主の弟吉岡伝七郎が面会を求めるがこれを断り、替わりに太刀で花を斬って手向けにと持たせようとした。

ところが吉岡伝七郎はこれを受け取らず、柳生石舟斎を侮って城下を去って行ってしまった。その花は受け渡し人のお通の手から宿屋の女中の手に渡り、宿泊していた武蔵が眼にすることになった。一瞥した武蔵は花の切り口が尋常ならざると見抜き、これを斬ったのは誰かと尋ねて柳生の城内へと入ることとなった。

花の切り口ひとつで剣の腕を見抜いた武蔵は柳生四天王に一目置かれ、城代にはお目にかけられないが是非に一献と誘われた。ここで武蔵が弟子に取った城太郎の小僧が柳生の城で飼っていた犬を殺す一幕があり、一触即発となった武蔵は城太郎の木刀を右手にしたまま左手で剣を抜き、二刀流の構えを取って威嚇したのちに逃げ去ったのだ。

結局柳生石舟斎と会えぬまま、城内の篠笛にお通の姿を見、その場を逃げ去ってしまう。武蔵は石舟斎を認め、また解脱の境地に至った柳生石舟斎の心の安らぎに自分も至れるのかと自問しながら京へと戻っていった。

正月が迫ったころ、京の吉岡剣法道場に佐々木小次郎が客人としてやってきた。小次郎は京へ向かう船の中で吉岡道場門弟と争いごとになり、相手の髷を切り落としていた。ただならぬ腕と高名なる佐々木小次郎にあやかろうと邸内に宿泊させた吉岡清十郎は、好いた女に振られた挙句手籠めにし、刻々と迫る武蔵との果し合いにも怯え、自己嫌悪に陥っていた。そんな若き当主を見限った小次郎は、吉岡道場に荷を下ろしたまま京をうろつき、正月の果し合いを見物することにした。

正月の9日となり、宮本武蔵と吉岡清十郎の決闘は決行された。武蔵は手に木刀を持ち、「木刀でなさるか真剣でなさるか」と問うと吉岡は恐怖に駆られ木刀を手にした。それをあざ笑う武蔵は一刀で吉岡の左腕を叩き折り、勝負はあっけなくついた。左腕を微塵に砕かれた吉岡清十郎は、佐々木小次郎の勧めで左腕を斬り落とし、戸板で運ばれることを良しとせず歩いて道場に戻ろうとした。

名門の2代目は戦う相手ではなかったと後悔した武蔵だったが、ついに室町以来の剣法家に打ち勝ったことに自信を得て、更なる強敵を求めてその場を立ち去った。

こんな場面で終わる。

この5部作には、関ケ原の合戦で共に戦った又八という人物が登場するのだが、面白いのは又八の母親のお杉だ。

お杉は息子である又八が武蔵にそそのかされて関ケ原の戦いに西軍で参戦した挙句戦死してしまったと信じ切っており、息子の仇を取ろうと執拗に武蔵に仇討ちを挑む。第3部ではついに家僕でずっとついてきていた権六をも死なせてしまい、後に引けぬところまで追い詰められている。実は又八は生きており、武蔵もそう何度も言い聞かせているのだがまったく相手の言うことを聞こうとしない頑固ババアの姿を見ていて、漫☆画太郎のババアみたいだなと思い、待てよと調べてみると演じていたのはオロナイン軟膏のCMでお馴染みの浪花千栄子だった。

漫☆画太郎のババアって、この映画で浪花千栄子が演じているお杉ババアがモデルじゃないだろうな? 軟膏ババアって他にいないから、もしかしたら有り得るのかもしれない。漫☆画太郎は「宮本武蔵」からババアのヒントを得たのかと。

こうして古い映画を鑑賞していると、作劇のあちこちにのちの有名監督への影響などが垣間見られることに驚く。富野由悠季は間違いなく観て影響を受けているはずだ。

創作のベースにするにはうってつけの、教本のような映画だと思う。

内田吐夢、やはり面白い。



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