So-net無料ブログ作成

「ガサラキ」(1998年作品)第22話 感想 [アニメ/特撮]

パクスアメリカーナと言われ没落の気配と繁栄の願望の渦中にあったアメリカと、いよいよバブル崩壊が現実として受け止められその膨大な不良債権に震えながら自信を喪失していった時代のことをすっかり思い出したよ。

260.jpg


1998年当時のことをよく覚えていないと思ったら、フリーライターやってた頃じゃないか。名古屋に戻ってくる少し前だな。死ぬほど働いていたから覚えているはずがないよな。

第22話で、西田という革命指導者の思惑はわかった。かなり前の話で書いたように、「清貧の思想」などの書物が流行し、保守思想の勉強が一般的に活発化してきた時期だ。

一方で政治は大混乱期に突入しつつあり、団塊世代の政治改革ごっこに端を発する新進党の醜い内部抗争などがあった時期にこのアニメは制作され、発表した年に新進党は分裂したのだ。

若い子は知らないだろうが、ここ数年の民主党・民進党・希望の党などの動きが、与党に近い場所で行われていたと考えるといいかもしれない。民主党・民進党・希望の党の動きは、政界の救世主となった安倍政権の盤石な体制の下、野党としての動きに過ぎないが、1998年当時の新進党はもっと与党に近く、危うく新進党の分裂に合わせて自民党も分裂するところだったのだ。当時力を持っていた政治家はほぼ死んだか引退しているが、ハッキリ言ってバカばかりであった。

小沢一郎による政治改革ごっこは、毎年のように総理大臣を変え、何一つ政策が実行されない暗黒期であった。それを打破したのは、小泉純一郎という人物で、賛否はあるだろうがとにかく彼が政治を安定させアメリカとの関係を改善し、バブル崩壊によって生まれた不良債権を処理して、経済を再成長軌道に乗せた。この際に彼がとった政策によって製造現場への派遣業務が解禁された。それは一方で国内製造を守り、一方で大きな所得格差を生んだ。

小泉のころの雰囲気がわからない人は、民主党政権の3年8か月でどん底に落とされた日本経済が安倍晋三内閣で再生したのを想起するとほぼ近いものがある。あれから20年、まだ日本の野党は政界再編ごっこをやっているのだ。早く絶滅してもらいたいものだ。

西田という人物は、プラザ合意を境に起こった日本のバブル経済とその崩壊を背景に、「清貧の思想」をもって日本を糺すという目的を持ち、日本の全金融資産を使ってアメリカ経済を極度のインフレ状態に持ち込み、その経済復興のために3年間日本国民が絶え、一方でアメリカが1年持たずに瓦解するさまを見せつけることによって戦後の経済成長一辺倒だった日本国の在り様を変化させるべくクーデターを画策したようだ。

思想の根幹にバブル経済時の醜い日本人の姿への嫌悪があり、また経済成長による福祉充実への猜疑、経済覇権主義の追及への疑義などがある。これがあの時代に模索されていた保守主義であった。アメリカ的な経済行動原理への反発は当然大きく、それがアニメにまで反映されていたのかと思うとぞっとする。押井守とかに引っ張られすぎじゃないか?

だがこれでこのアニメに対する違和感が何なのかは分かった。日本に対する評価が全然違うのだ。確かに日本はバブル崩壊以降滅茶苦茶になったが、一方で何とか不良債権も処理し、貧富の格差が開きつつも1億3千万人を食わせ続け、また海外純資産を着々と積み上げていき、いまやその利息で原発停止を乗り切れるほどになっている。シャープだの東芝だのの問題は、政治は関係ない。団塊世代の処理に多くの金を使った企業は投資(設備、研究開発など)が疎かになって売るものがなくなっただけだ。団塊処理が少なかった新興企業はどんどん利益を上げている。

おそらく安倍内閣に対する保守系老人のヒステリックな批判なども、この日本観の違いによるものなのだろう。オレは劇中の西田のような行動はまったく支持しない。自分が自衛官であったならば、自分の責任で撃ち殺して自分も死んでいる。

人間の精神などというものは、気の持ちようでいくらでも変化するあやふやなものだ。特攻隊員の矜持をすべての日本国民が持てば国家がみるみる覚醒し、貧しくともキラリと光る国に変貌するなどというのはあり得ない。そもそも特攻隊員の精神性は読書や会話の質の高さに依るのであり、精神論を体得したからではない。美しいものを礼賛し、醜いものを唾棄する日常光景が彼らの精神性を形作ったのだ。

劇中の西田のような考えは、60歳代前半の右翼左翼に共通したものだ。彼らは精神主義によって人間性を変革すれば国家が美しくなると勘違いしている。





コメント(0) 
共通テーマ:アニメ

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。