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「正解するカド KADO:The Right Answer」第11話 感想(ボロボロっすな) [アニメ/特撮]

全然ダメなんだけど、どこがどうダメなのか自分なりに整理しておきたいタイプのダメさだ。

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まずは、ベーシックなSFの設定とアニメテンプレの相性の悪さが挙げられる。

SFはミステリの派生物で、物語の状況が日常とはかけ離れて特殊であることが特徴だ。ミステリは殺人、強盗など非日常的な事件を舞台に設定するが、特殊な状況のみを舞台として設定するなら、もっといろんなことが出来るだろうと考えられ、SFは生まれた。

人間を特殊な状況に放り込むことで、日常をただ生きているだけの人間の内部に潜む不可思議な欲望や希求を炙り出し、人間性の本質に迫ろうとする。ミステリもSFも、本来はそうしたものだ。物語を構成する様々な要素はあっても、最終的に人間が描かれたかどうかで作品の評価は決まる。

一方でラノベ原作にありがちなアニメというのは、人間性の本質を描くことはあらかたやり尽されたと見做し、いままで蓄積された人間の志向性を分類して、それぞれの方向ごとにキャラクターを割り当て、人物造形する。ラノベにとって人間は総合的で複雑なものではなく、個が持つひとつの方向性に過ぎない。

ラノベのキャラクターは、人間の方向性のひとつであるが、商業的価値観によって人気不人気が決まり、難し気な人間の方向性は忌避され、比較的単純なものだけ残されて、長身=眼鏡=クールのようなキャラクターはどの作品にも登場する。眼鏡のない時代を舞台にしていても眼鏡をしている。あくまで人間の一部を切り取った人物造形なのだ。

「正解するカド KADO:The Right Answer」は、ラノベのそうした特徴は避けて人物造形がなされている。登場人物は、官僚は官僚らしい服装で変な個性はつけられておらず、政治家も同じだ。ところが、その描き方は人間性を探求するわけではなく、ステレオタイプなものにとどまっている。シュミレーション小説のように、国家の在り方や国家運営に携わっている人間を深く取材する過程で見つけた気骨ある人物を作品に登場させるということはなされていない。

ここまでならば、人間を描くことが出来ていない作品として、凡庸との評価にとどまったはずだが、本作は凡庸さをアニメ的テンプレ進行で打破しようと試み、見事に失敗した。

第0話も含めて、視聴者は物足らないながらも特殊な状況に置かれた人間の取る行動を描こうとしているのだと思って観ていたはずなのに、何もかもかなぐり捨ててアニメ的突破を図ったために、視聴者の脳内ではそれまでの理解を再構築する必要に迫られた。様々な指向性を内包する複雑な個としての理解をかなぐり捨てる必要に迫られたとき、真道もヤハクィザシュニナも徭も花森も、どのテンプレに当て嵌まるのだろうと探られるキャラクターに戻ってしまったのだ。

それまで描いてきた個性が消えたわけではないので、引き続き視聴には耐えられるのだが、複雑な個を描こうとしていると思っていたものが、ただのキャラかもしれないとなったときの定まらない気持ちは、作品への一切の感情移入を拒む作用をもたらす。要するにすっごく冷めた状態でアニメを観ることになる。

諸悪の根源は脚本家だとも気づかれているので、野崎まどという人物はとんだ失笑の的になっているはずだ。他人から笑われるためにアニメに参加したわけじゃないだろうに、何をやってるんですかね?

酷いところはまだまだあるのだが、もう取り返しがつかないダメ脚本なので、もういいかな。経済について無知すぎるとか、政治に関してわかっていないとかはもう書いたしね。



せっかくなので良い点を挙げておく。

良い点はCGだ。カドのCGが素晴らしかった。登場人物の科白と口の動きも、「ベルセルク」のように顎をカクカクさせすぎておらず、違和感がない。科白すべてに合わせて顎を動かすと、せわしなくてカクカクが際立つのだが、見ればわかるが科白数より顎の動きはかなり減らしてある。

CGでモブキャラを作ると手間に対して登場回数が合わず赤字になるという問題は、手描きにすることで解決されていた。CGと手描きの差異もかなり少なくて、全然違和感がない。この辺りは東映アニメはいろいろノウハウがあるのだろう。「ベルセルク」もこれくらい出来ればよかったのに。

演出も素晴らしい。掘り下げられた人物造形でもなければ、商業的に許容され望まれているテンプレキャラでもない登場人物を精一杯描いてあると思う。

と、良い点も多々ある。

こうして良い点もあえて挙げてみると、ますます脚本のクソっぷりが際立つというね。

なかなかこんなクソアニメは作れないものだよ。

逆に凄いかもね。





コメント(4) 
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コメント 4

たちばな

2度目のコメントです。記事の更新いつもありがとうございます。

今更ながら、正解するカド最終回まで見ましたが、まず一言言うならば残念な作品という感想です。最初の方にワムに反対するのは産油国の人間だけだと思っていたというセリフにそんなことはないだろうと思い、そこで不安感が起きましたが、その思いは最後まで消えず。演出は見入るぐらい良かったのにもったいないと思いました。

また、ダグラムさんがこの記事に挙げられてる通り、当初はもっと交渉という要素を出しながら話を進めていくものだと思っていたのです。しかし、途中から交渉という要素がなくなり、よくあるファンタジーアニメみたいなストーリーの進め方になったことも残念だと思った理由の1つです。

長文失礼いたしました。
by たちばな (2017-07-09 18:32) 

ダグラム

たちばなさんへ

外務省のエリート交渉官を、まったく未知の世界からやってきたと自称し、羽田空港を未知の巨大構造物で占拠してしまった人物との交渉に当たらせる。

ここまではワクワクする設定だったんですよねぇ。ファーストコンタクトはタイムトラベルと同じくらい多く使われる設定ですが、交渉が専門のエリート外交官がその任を負い、なおかつ彼は未知の構造物に取り込まれて、相手方の代理人として交渉の場に立つ。ここまでは完璧なおもしろさでした。

ところが最後は全部なかったことにされてしまいました。なぜに?

相手方の代理人であると同時に、日本国民として日本の利益も追及するという方向性になぜいかなかったのか。相反する目的を、鍛え抜かれた頭脳で解決する話だったらよかったんですけど、実際は肉体言語に頼ってましたね。なんだかなー。

今期は「メイドインアビス」がいいですね。


by ダグラム (2017-07-09 20:13) 

たちばな

ご返信ありがとうございます。

メイドインアビス 今日初めて作品名を知ったんですが、
美術担当の方がビッグネームの有名監督の方々と組んだこと
ある方と知り、興味が湧きました。

シリーズ構成も個人的に好きな作品に関わっておられたのを見たことある方なので尚更気になります。

チェックしてみます。

by たちばな (2017-07-09 20:40) 

ダグラム

たちばなさんへ

第1話はかなり面白かったですよ。萌えじゃないのがポイント高いです。

by ダグラム (2017-07-10 05:11) 

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