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「サクラクエスト」第10話 感想(だんないよー) [アニメ/特撮]

かなり薄めの企画をシリーズ構成と脚本が頑張って2クールアニメにしてる感じだよな。

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原作がないオリジナルアニメは、企画が命なんだけどねー。「クロムクロ」もそうだったけど、企画が弱いんだよな。元のアイデアが少なすぎる。詰め込むだけ詰め込んでそれを脚本家が整理する形ならいいが、脚本家が話を膨らませているように感じるわ。

1本1本の脚本は決して悪くないと思う。朝ドラみたいでなかなか楽しい。面白いと思ってるからこうして視聴しているのだが、それは横に置いといて、やっぱり内容が薄いと感じる。

今回は織部凛々子という高校卒業後に引きこもり生活をしていた女の子の話。といっても彼女の暗い側面を直接描くのではなく、間野山町の青年会が企画したお見合いツアーという集団の話と集団に溶け込めない個としての織部凛々子を対比させて描いている。

どっちかというと暗い性格の女の子のドグラ・マグラな内面を描くのに、説明的な描写は極力控えてあって、幼いころにみんな一度は教わる間野山伝統の踊りを自分だけ覚えなかったこと、恋愛結婚という多くの人が通る人生のイベントに自分は全く関与しようとしてこなかったことなど、彼女を傍観者の立場に置きつつ、その立場が揺らいでいる感じを上手く脚本にしていた。

織部凛々子はずっと傍観者で、当事者になることを拒んできた、おそらくは恥ずかしがり屋な性格で、個が肥大化して何でも自分中心に考えるタイプの孤独とは違った個を持っている。性格に激しい部分はほとんどなく、大人しく地味で、主体性がないが、不思議なものが好きという小さな個があり、それを認めてくれる人たちとは彼女なりの関わりを持って接することが出来る。

主体性がないがゆえに自分が持ってる小さな個を社会で発揮しようとか、自分から他人に積極的に関わって誰かに認めてもらおうとしたことがなく、木春由乃に引きずられるように他者と関わるようになったものの、主体的に行動した結果として他者との交流を持ったわけではないことから、自分の身に変化が起こったのか起こっていないのか判然としないまま、ずっと傍観者でいたという事実だけを突きつけられて戸惑っている。

アニメを観た感じでは、ちょっと後悔の念を持ったように思えた。こういう心の機敏を描いているところが、P.Aらしくていい。田舎で母親に甘えて引きこもってる少女を汚らしく描かないところがこの会社のアニメの絶対的魅力である。

登場人物の5人の女の子たちは、木春由乃が就活に失敗した東京に夢見てる女の子、緑川真希は間野山を捨てた女優志望の女の子、香月早苗が東京からIターンしてきた女の子で、地元の子は四ノ宮しおりと織部凛々子しかいないのに、織部凛々子は内向的というより地元の間野山に対しても傍観者の立場だったために、観光協会の仕事に関われば関わるほど、地元の人間としての意識の希薄さを思い知っている状態なのだと思う。

逆に考えれば、ほぼ完成された地元民である四ノ宮しおりと違って、これから間野山の魅力を再発見していける立場でもあり、そのとっかかりの話が今回の間野山踊りと龍の民間伝承だったはずだ。織部凛々子はUMAに興味を持っていたものの、間野山踊りを覚えなかったのと同じように、民間伝承のことも知らなかったはずで、これで彼女の個と間野山という地域が重なったのだ。

肥大化した個のドグマを描くのではなく、個と地域の接点を探っていく脚本は、第1話から一貫しており、その点で「サクラクエスト」の脚本は非常に優れている。地域を描くときに、そこに暮らす人々を描写するだけではなく、個を描きながら地域との接点を探るように紡がれていく物語はとても興味深く、面白い。

不満なのは、力強さの欠如かな。力強さといっても、物語を強引に膨らませるとかそういうのではなく、表現者の個性が観たいということだ。核になる表現者が欠如している。それは、脚本家であっても、監督であっても、美術であってもいいが、これを見せたい、これを描きたいといったものがあまりないように感じる。

作り手と受け手の濃密なやり取りが発生しない作りになっているのだ。

人間を描くという部分はよく出来ているが、なぜ人間を描こうとアニメ制作の現場で足掻いているのかが判然としないまま、可もなく不可もないまま回だけ重ねてしまっている。

前にも書いたはずだが、P.A.WORKSは一度濃い表現者と組んでひっかきまわされた方がいいと思う。「クロムクロ」も「サクラクエスト」も、まったく同じ勿体なさがある。






コメント(2) 
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コメント 2

nobuyo

初めてコメントさせて頂きます。

記事の内容に同感です!P.Aのお仕事シリーズということで、私自身かなりハードルが上がってしまっていたのですが…う~ん、やはり描きたいことの核となる部分がイマイチ見えてこないですよね...
題材的に難しいのも百も承知ですが、もう少し踏み込んでほしい。

変に汚らわしくしない脚本は良いですよね。あと、流石はP.A、キャラクターの服装や小物類などは相変わらず凝ってますよね。個人的にはこういった部分も視聴を継続させてくれる理由の1つになっております。
ここからどう着地させるのか気になるので、2クール目に期待します!
by nobuyo (2017-06-08 21:58) 

ダグラム

nobuyoさんへ

はじめまして。

好きなスタジオなので、もっと弾けて欲しいとか、売れて欲しいとか、傑作を生み出して欲しいとか、期待が大きい分だけ厳しくなっているのかもしれないです。

「サクラクエスト」も面白い作品なのですが、「true tears」の岡田麿里とか、「SHIROBAKO」の水島努とか、「Angel Beats!」「Charlotte」の麻枝准などの作品と比較すると、作家性が乏しく、見劣りしてしまいますよね。

アニメにしてまで伝えたいものがないのにアニメを作ってる会社になって欲しくはないので、2クール目に期待ですね。


by ダグラム (2017-06-09 18:43) 

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